2022年度公立高校入試 出題傾向の変化の分析 [高校受験コラム_10]

登場人物A

こんにちは。副教室長の坂口です。
今回は、「2022年度公立高校入試 出題傾向の変化」についてお話します。

中学校では2021年度4月から新学習指導要領に基づく新しい教科書の使用が始まりました。2022年度入試でどの程度反映されるかが注目されていました。今回は2022年度入試の出題傾向や変化を分析し、今年度以降の入試のポイントを解説します。

国語

国語の大きな変化は2つ。
1つ目はメモ形式やノート形式などの図を用いてまとめる問題の増加です。これまでは傍線部分について前後の情報をもとに回答するものが主流でしたが、本文の展開の仕方や登場人物の心境の変化を捉えていく問題の占める割合が高まっています。
2つ目は資料の読み取りからの論述など「あなたはどう考えるか」を答えさせる問題の増加です。
今年度の岡山県高校入試では、
資料等を読み解き新聞の強みをテレビの強みと比較し100字程度で記述せよ。」という問題が出題されました。
日頃から考え表現する癖をつけることが大切です。

社会

社会は他の教科と違って、カリキュラムに大きな変革はありませんでした。そのため2022年度入試の出題内容に大きな変化は見られませんでした。
しかし近年の傾向として資料数が大幅に増加しています。多角的に考察できる反面、要点を見抜く難しさもあり諸刃の剣となっています。
また記述式の問題も増加し、今年度の岡山県高校入試では全体の約3割が記述式の問題となりました。これまで以上に知識だけではなくその背景や関連する事項をしっかりと理解していく必要があります。

数学

新教科書は従来よりも「見方・考え方」を重視した内容になりました。それに伴い思考力や判断力を問うような長文問題が出題されました。
今年度の岡山県高校入試では「ゲームに必要な飴の個数を予測する」内容で長文会話形式の問題が出題されました。
また単元を超えた融合問題も増加しています。確率と関数の融合問題などは設定が凝ったものが多く、問題文が長化・難化する傾向にあります。
入試を意識して、早い段階から複数単元の融合問題や長文文章題に積極的に取り組んでおきましょう。一方で岡山県高校入試では、大問1が単純な計算問題の10問で配点が約4割と高得点を占めています基礎を固めてから応用に取り組むなど段階に分けた学習が必要です

理科

理科は社会と同様にカリキュラム上の大きな変化はありませんでした。
しかし図表や記述式問題の増加を見ることができます。
新教科書で「日常生活の中での理科」に重点が置かれている関係で、やや強引な問題設定も見られましたが、新傾向を意識した、趣向を凝らした問題も増加しています。
また実験の実施から結果までの全過程を問う問題も増加しています。
そして新単元となった「ダニエル電池」は15都道府県で出題されました
今年度の岡山県高校入試では、新傾向の問題形式は見られませんでしたが、今後の変化には注意が必要です。また「ダニエル電池」の出題がなかったため、次年度での出題の可能性が高まっています。社会と同様、知識の単純記憶ではなく、その言葉の意味や実験の方法、結果について説明できるようにしておく必要があります。

英語

新学習指導要領により、最も難化したのが英語。扱う単語数か各学年平均して1.5倍となりました。原型不定詞や仮定法、現在完了進行形など新出内容の出題が注目されましたが、初年度ということもあり、ほぼ出題がありませんでした。
今年度の岡山県高校入試でも大きな変化はありませんでした。しかし近年の傾向として、長文読解のテーマの難化、語彙数の増加は顕著です。SDGsや異文化交流など内容の深まりが見られます。またリスニングの配点は3割と全国的にみて高配点となっています。内容はあまり難しくありませんが、日頃から英語に慣れておく必要があります。
また受験期になれば、「時間内に解き切る」ことを意識しましょう。知識を習得しつつスピードも意識した学習が大切です。

総論

全教科を通して、「思考力・判断力・表現力」が重要視された問題構成になっています。
知識の単純記憶ではなく、それぞれの知識を活用できるようにしておく必要があります。
教室でも、「合格を掴ませる授業」として入試傾向に沿った授業を行っていきます。
最高の春を迎えるために。コツコツと頑張っていきましょう。継続あるのみ!

参考文献:Educational Network 『2022年度公立高校入試分析 長速報版』